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近隣トラブルに関する裁判事例
騒音行為を繰り返す迷惑行為者
猫の餌やりが規約違反か
モンスタークレーマーの問題は個人の問題ではない
日常管理に関する裁判事例
管理組合の清掃義務の有無と不法行為責任の成否
理事長の権限の範囲と表見代理
共用部分の工事のための専有部分への立入権
工事への協力義務と弁護士費用の支払請求
管理規約の水道料金支払の定めは有効か
不在組合員に対する管理費協力金
多額の管理費等の滞納は共同の利益に反する
不公平な管理費と修繕積立金の是正決議
特定専有部分からの汚水をためる汚水槽の清掃費、修繕費
一律にインタ一ネッ卜利用料金を負担させる規約の定めは有効か
共用敷地の違法使用の判断
会計帳簿の写しの請求に応じなければならないか
途中から定めた住居専用規定
駐車場の使用料の増額決議と増額を不服とした不払い者の解約
建替えに関する裁判事例
建替え決議無効の条件付き建替え参加を意思表示
建替え反対者の悪意ある建替え参加回答
法定の要件を満たさない一括建替え決議による反対者の区分所有権等の売渡し請求
その他裁判事例
用途違反のシェアハウスと原状回復請求
不当利得返還請求と原告適格
特定継承人への滞納管理費の請求と時効消滅
管理費などを不正消費して死亡した管理人
役員の善管注意義務
管理費などを不正消費して死亡した管理人
管理規約に定めた違約罰の弁護士費用
共用部分の賃借期間の決議
未登記規約共用部分を悪意ある者が登記、更に第三者に移転登記
大規模改修の決議は理事会に執行が義務づけられているものではない
損害保険会社が管理組合に損害買収請求
地代は持分割合に対応する地代を支払えば足りる
★騒音行為を繰り返す迷惑行為者
東京地方裁判所 平成26年3月25日
(コメント)
騒音行為を繰り返す迷惑行為者に対して受忍限度に踏み込んだ裁判例であり、騒音トラブルが発生した場合の組合対応の指針の一つになると思われる。
(裁判例)
X1、X2夫婦は、X1が購入した都内中央区所在の13階建てマンションの8階の建物に居住していたところ、Y1が階下の7階の建物(Y1の父母Y2、Y3の区分所有)に居住し、平成14年6月頃からロック調の歌を歌うようになり、
深夜を含めて長日寺間歌うことがあり、平成15年、マンシヨンの管理会社を介してY1に歌を歌わないよう注意をしてもらったものの、歌が止まず、 管理会社を介してY1に防音ルームの設置を申し入れたものの、拒否される等したため、X1がY1らに対して所有権に基づく妨害排除として騒音の差止め (午前6時から午前8時までは45デシベル、
午前8時から午後8時までは50デシベル、午後8時から午後11時までは45デシベル、午後11時から翌日午前6時までは40デシベルを超える騒音を建物の内部に浸入させてはならない旨の裁判) 、X1らがY1らに対して不法行為に基づき損害賠償を請求した (X1らは、平成24年12月、建物を退去した)。
本件は、マンシヨン内の騒音の受忍限度、騒音の差止めが問題になった。
本判決は、本件騒音は最大41デシベルであり、束京都の都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の規制に照らすと、深夜(午後11時から翌日午前6時までの間)については規制を超え、受忍限度を超え、他の時間帯は受忍限度を超えないとし、これによってX1らの生活上の支障が生じていたとし、
X1らの退去後には苦情が生じなかつたこと等からX1の所有権侵害の具体的なおそれがなかったとし、差止請求を棄却し、Y1に対する損害賠償請求を一部認容した
(X1については、慰謝料10万円、弁護士費用2万円、 X2については、 慰謝料20万円、弁護士費用4万円の損害を認め、その余の治療費等、引越費用、騒音計等のレンタル費用の損害の主張を排斥した)。
★猫の餌やりが規約違反か
東京地方裁判所立川支部 平成22年5月13日
(コメント)
猫の餌やりは、野良猫などを呼び寄せ、ベランダ等への排泄などにより、近隣の住民はかなりの迷惑を被るが、餌やりをしている本人は全く罪の意識がなく、深刻な近隣トラブルになることが多い。
「他の居住者に迷惑を及ぼす恐れのある動物を飼育しないこと等」が定められている規約に違反するとの判決は、猫に餌やりしている者に組合として餌やりの中止を申し入れる根拠となる。
(裁判例)
区分所有建物 (タウンハウス) の区分所有者Yは、室内で描を飼育し、屋外の猫に餌やりをしていたところ、 X1管埋祖合の規約には、他の居住者に迷惑を及ぼすおそれのある動物を飼育しないこと等か定められており、Yに規約違反があるとし、
Yに対して猫ヘの餌やりの差し止め不法行為に基つき損害賠償を請求するとともに、他の区分所有者、居住者X2らが人格権に基つく猫ヘの餌やりの差止め、不法行為に基つく損害賠償を請求した。
本件では、猫への餌やりが規約違反に当たるか等か問題になった。
本判決は、猫ヘの餌やりが規約違反に当たるとし、人格権侵害にも当たる等とし、請求を認容した。
★モンスタークレーマーの問題は個人の問題ではない
最高裁判所第三小法廷 平成24年1月17日
(コメント)
何の証拠もなく身勝手なまたは理不尽な理由で役員を誹謗中傷や難癖を繰り返すモンスタークレーマーに対して、被害を受けた役員が当該行動の差止請求をすれば足りるものではなく、区分所有法6条1項所定の共同の利益に反する行為に当たるとみる余地があると判断された。
つまり、単に被害を受けた役員個人の問題ではないとする管理組合にとって有益な判決である。
(裁判例)
マンションの区分所有者Yは、 平成19年頃から、A管理組合の役員が修繕積立金を恣意的に運用したなどと記載した文害を配布したり、マンション付近の電柱に貼付したり、役員らに暴行をしたり、マンションの防音等の工事を受注した業者に趣旨不明の文を送付する等したことから、区分所有者X が区分所有法所定の手続を経て、
同法57条又は規約に基づき前記の各行為の差止を請求した。
第一審判決は、前記の各行為は被害を受けたとする者が差止請求、損害賠償請求をすれば足り、区分所有法6条1項所定の共同の利益に反する行為に当たらないことは明らかであるとし、請求を棄却したため、Xが控訴した。
控訴審判決は同旨を判示し、控訴を棄却したため、Xか上告受理を申し立てた。
本件では、区分所有者の役員に対する誹謗中傷につき区分所有法57条所定の差止請求か認められるかが問題になった。
本判決は、区分所有法57条所定の差止請求については、単なる特定の個人に対する誹謗中傷の域を超えるものであり、管埋組合の業務の遂行や運営に支障か生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には、
同法6条1頂の規定に当たるとみる余地があるとし、原判決を破棄し、本件を束京高裁に差し戻した。
★管理組合が共用部の管理責任をすべて負うものではない(不具合の程度や費用も勘案すべき)
東京地方裁判所 平成27年7月17日
(コメント)
専有部分を購入した特定承継人が専用使用権を有する共用部分のガラスの汚れの補修を管理組合が行わなかったとして、管理組合に不法行為があったと損害賠償請求をしたが、
不具合の程度や費用負担の程度から管理組合にその義務はないとした事例。
(裁判例)
Xは、平成20年11月、建設業を営むA株式会社からマンションの10階の専有部分を購入したが、本件居室に接するバルコニ一があり、Xが専用使用権を有しており、
本件バルコニ一には透明の手すり用ガラスが4枚設置されており、そのうち1枚には購入当時から複数箇所にしみのように見える部分があり、清掃等によって除去できない状態であったため、
XがAに対して暇庇を主張し、損害賠償を求める調停事件の申立をしたものの、不調になり、訴訟を提起し、調停に付され、調停が成立したところ、XがY管理組合に対して手すり壁のガラスの汚れをYが修補しなかった等と主張し、
不法行為に基づき損害賠償を請求した。
本件では、手すり壁のガラスの汚れと管理組合の清掃義務の有無、管理組合の不法行為責任の成否が問題になった。
本判決は、管理組合は共用部分に存在する不具合のすべてに、その程度等にかかわらず、修補する義務があるとはいえず、不具合の程度、修補のために生ずる費用負担の程度等に照らし、
合理的な範園で修補等の対応をする義務があるとし、本件では前記の義務があるとはいえないとし、不法行為を否定し、請求を棄却した。
★総会の決議なく理事長が発注した共用部の工事
東京地方裁判所 平成27年7月8日
(コメント)
総会の決議をせずに理事長が共用部分の工事を発注したが、臨時総会により工事契約の白紙撤回が決議された後に、工事業者が工事の完了を主張し、報酬を請求した。
理事長(管理者)は総会の決議なく工事発注できない。また、工事業者に過失があり表見代理による契約の有効性は認められないとして工事業者の請求が棄却された事例。
(裁判例)
X1株式会社、X2協同組合は、平成23年5月、権利能力のない社団であるY管理組合の理事長A(管理規約上、管理者と定められていた)との間で、建物の調査、
診断等の業務を受託する旨の契約を締結し(Y の総会の決議が行われなかった)X1らが業務を行っていたところ、Yが、同年7月、臨時総会を開催し、
本件契約を白紙に戻す旨の決議が賛成多数で行われたため、X1、X2が受託業務を完了したと主張し、Yに対して報酬の支払を請求した。
本件では、理事長・管理者の権限の範囲・根拠、民法110条の適用が問題になった。
本判決は、本件契約の締結が区分所有法18条の共用部分の管理に関する事項であるが、集会の決議がされておらず、管理者は包括的代理権を有するものではないから、集会の決議なく本件契約の締結の権限を有していないし、
民法110条については、X1らに過失があったとして表見代理を否定し、請求を棄却した。
★共用部分の工事のための専有部分への立入権
東京地方裁判所 平成27年3月26日
(コメント)
共用部の排水管等の更新とアスベスト除去工事のため専有部への立入協力が得られない区分所有者に対し、専有部分への立入には正当な理由があるとし、組合側の全請求が認められた。
(裁判例)
マンション管理組合Xが区分所有者Yに対し、管理規約に基づき、共用部分の排水管等更新工事及びアスベスト除去工事のために、必要な範囲でYの専有部分に立ち入り、使用する権利を有することの確認、
並びに同工事の妨害禁止等を求めたところ、本件各工事は、 マンションの共用部分の保守、修繕のために必要な工事であり、Xが同工事のために必要な範囲内でYの専有部分への立入等を求めることには正当な理由があり、
当該区分所有者の負担又は不利益は受忍限度の範囲内に止まるとして、全請求が認められた事例。
★専有部の立入が必要な共用部の工事への協力義務と弁護士費用の支払請求
東京地方裁判所 平成27年2月16日
(コメント)
共用部分である玄関扉の改修工事に協力しなかった区分所有者の協力義務の確認と弁護士費用の請求が争点であり、当該区分所有者の従前の対応状況から義務の確認請求が妥当であり、また弁護士費用の一部が認められたケースである。
(裁判例)
X管理組合は、マンションの共用部分である各居室 玄関扉の外部部分の改修工事を計画し、臨時総会において専門業者に依頼し、工事を実施し、代金を管理費から支出する旨を決議したところ、区分所有者Yは、
工事の実施に協力を拒否したため(工事を実施するには、玄関扉を開け、取っ手を外し、シートを巻き、事前に調整した日程で約2時間立ち会うことが必要である)、XがYに対して区分所有法46条、57条に基づき工事の協力義務の確認、
工事の妨害禁止等、 管理規約に基づき訴訟提起に係る弁護士費用の支払を請求した。
本件では、共用部分の改修工事について区分所有者に協力義務があるか、規約を根拠に訴訟提起のための弁護士費用の支払請求が認められるかが問題になった。
本判決は、臨時総会における改修決議の議決に暇庇があるとはいえないとし、区分所有者は改修決議に従う義務があり、管理組合は、改修決議を実行し、そのための協力を求める権利、
義務を有するところ、Yの従前の対応から、義務の確認請求には理由があり、弁護士費用のうち着手金40万円、実費3万円、成功報酬15万円の弁護士費用を認め、請求を認容した。
★管理規約に水道料金の支払義務を定めても規約は効力を有しない
名古屋高等裁判所 平成25年2月22日
(コメント)
管理規約で支払義務を定めても共用部分の管理とは関係ないものについては、規約に基づく請求が認められない。
(裁判例)
X有限会社は、Y管理組合の管理に係るマンシヨンの区分所有建物を競売により取得し、前の区分所有者が滞納していた水道料金をYに支払つたが、水道料金は建物全体にー個のメーターが設置され(Yが各古屋市水道局との間で給水契約を締結していた)、
各戸に設置されたメーターで使用水量を計測し、名古屋市水道局と同一の料金表を使用して料金を算定し、徴収して支払っていたところ(管理規約には、区分所有者に水道料金等の滞納かある場合には、全滞納額を承継人に対しても請求できる旨の定めかあった)、
XがYに対して管理規約が無効である等と主張し、支払済みの水道料金につき不当利得の返還を請求した。
本件では、 水道料金に関する規約の効力が問題になった。
第一審判決は、Xの支払義務を認め、請求を棄却したため、Xが控訴した。
控訴審判決は、同様に支払義務を認め、控訴を棄却したため、Xが上告受理を申し立てた。
本判決は、水道の料金は共用部分の管理とは関係がなく、管理規約において支払額、支払方法、支払義務等を定めたとしても、規約としての効力を有しない等とし、
原判決を破棄し、本件を名古屋地裁に差し戻した。
★不在組合員に対する管理費協力金が認められた
最高裁判所第三小法廷 平成22年1月26日
(コメント)
賃貸物件比率が増加したマンションで、これらの不在区分所有者に対し、規約で負担を定めた協力金が認められた判決であり、今後、多数の不在所有者をかかえる組合の取り組み方の指針となると思われます。
(裁判例)
X管理組合は、昭和40年代にA住宅供給公社が建築、分譲した14階建てマンション4棟からなるマンションの管理組合であり(総戸数868戸) 、理事長1名、 副理事長2名、 理事25名、 監事4名が置かれ、1戸当たり管理費としてー律に1万7500円と定められていたところ、
分譲後20年を経過した頃から空室、賃貸物件が増加し、平成16年頃には多数の不在区分所有者(専有部分の約170戸)が生じていたことから、平成16年3月開催の総会において、不在組合員は1戸当たり月額5000円の協力金を負担し、組合費とともに納入しなければならない旨の規約の変更が決議され、
多数の区分所有者(175戸のうち158戸)がこれに応じたものの、17戸がこの支払を拒否し、最終的に7戸に対して順次その支払を請求する訴訟を提起したものであり、本件では、Xが支払を拒否したBの共同相続人Y1 、Y2らに対して協力金の支払を請求したものである
(前記の各訴訟の一部の控訴審において裁判所から協力金の月額2,500円とする和解案が提案される等したことから、Xは、平成19年3月開催の総会において協力金を遡及的に2500円とする規約の変更が可決される等した) 。第一審判決が請求を認容したため、Y1らが控訴した。 控訴審判決は、Xが規約変更を行うとともに、
これを主として役員の報馴、必要経費として支給したものであるが、この金額を不在区分所有者のみに負担させるベき合理的な根拠はないとし、第一審判決を取り消し、請求を棄却したため、Xが上告受理を申し立てた。
本件では、不在区分所有者に協力金を負担させる規約変更の効力が問題になった。
本判決は、本件規約変更は必要性と合理性が認められないわけではなく、一部の区分所有者に特別の影響を及ぼすものではないとし、本件規約変更が無効ではないとし、
控訴審判決を破棄し、控訴を棄却した。
★多額の管理費等の滞納は共同の利益に反する
東京地方裁判所 平成22年11月17日
(コメント)
多額の管理費等の滞納は、区分所有法6条1項所定の共同の利益に反するとし、管理者の当該区分所有権等の競売を容認した判決である。
(裁判例)
A株式会社は、区分所有建物(ビル)において2個の専有部分を区分所有しているところ、平成12年から平成21年4月末までに管理費等の合計2億5491万円余を滞納し、B管理組合において管理者に選任されたX株式会社は、
Aに対して滞納管理費等の支払を請求する訴訟を提起し、勝訴判決を得て、同判決が確定したものの、Aにつき破産手続開姶決定がされ、Yが破産管財人に選任される等したところ、BにおいてはYに対して競売の請求をすること、Xに訴訟追行権を付与することを決議し、XかYに対して区分所有権等の競売を請求した。
本件では、管理費等の滞納が区分所有者の共同の利益に反するかが問題になった。
本判決は、多額の管理費等の滞納が区分所有法6条1項所定の共同の利益に反するとし、Yが任意に支払う見込みがない等の状況では他の方法によることは困難であるとし、請求を容認した。
★不公平な管理費と修繕積立金の是正決議
東京地方裁判所 平成23年6月30日
(コメント)
原始規約で一部区分所有者に著しく低廉な管理費と修繕積立金を是正する決議の有効性が認められた判決である。
(裁判例)
マンションの管狸規約において区分所有者であるY株式会社につき原始規約で管理費、修繕積立金が著しく低廉なものとされていたところ、X管理組合法人が区分所有者間の不公平を是正する必要があるとし、臨時総会を開催し、一般の区分所有者の面積当たりの平均額のものに増額する旨の決議をしたため、
XがYに対して増額に係る管埋費等との差額の支払を請求した。
本件では、廉価な管理費等が認められていた状況において、増額決議をすることが有効であるかが問題になった。
本判決は、 議決権の代理行使の委任状書面の確認に応じる義務がなく、特別利害関係のない第三者である管埋会社であるA株式会社の担当者が議事の出欠、 議事の賛否の数の集計等に従事しており、
その手続に格別不公正さの疑念を生じさせるものではなかったとし、决議が有効であるとし、請求を認容した。
★特定専有部分からの汚水をためる汚水槽の清掃費、修繕費
東京地方裁判所 平成24年1月30日
(コメント)
特定専有部分からの汚水をためる汚水槽の清掃費、修繕費は管理費で負担すべきか、それとも、「通常の使用に伴うものは、専用使用権を有するものの責任と負担とする」旨の規約に従い専用使用権を有する者か負担すべきかが争われ利用及び管理の実態により専用使用権を有する者が負担すべきとされた判決。
(裁判例)
Y管理組合は、 地上10階建て、地下1階のマンションの管理組合であり、X有限会社は、もともと敷地部分の土地の一部を賃借し、銭湯を営業していたところ、マンションが建築された際、地下1階から2階の各一部の区分所有建物を区分所有するものであるところ(管理規約には、共用部分の管理は管理組合がその責任と負担とする、
バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものは、専用使用権を有するものの責任と負担とする旨の定めがあった) 、地下の下部にある汚水槽の清掃費、修理費等を負担してきたことから(汚水槽は、Xの要望により設計変更され、Xの専有部分のみから出入りでき、当該専有部分の汚水を溜めるものであつた) 、XがYに対して不当利得の返還を請求した。
本件では、地下1階にある汚水槽の清掃費等か管理費に当たるか等か問題になった。
本判決は、Xが支出した清掃費等は、Xか専用使用権を有する汚水槽の通常の使用に伴うものであり、規約によって専用使用権を有する者か負担すべきであるとし、請求を棄却した。
★一律にインタ一ネッ卜利用料金を負担させる規約の定めは有効か
広島地方裁判所 平成24年11月14日
(コメント)
インターネットを利用しない区分所有者に対しても、一律にインタ一ネッ卜料金を負担させる規約は、インターネット料金は委託料に匹敵し、
また、インターネッ卜設備によって資産価値が増している等として、規約の有効性を認めたものである。
(裁判例)
X管理組合のマンションは、インターネット専用回線等の設備が設置され、マンションの管理を業とするA株式会社との間で、接続回線の選定、提供等の保守点検等につき業務委託契約を締結していたところ(管理規約上は、インターネット利用料金は、区分所有者の負担と定められていた) 、Xが区分所有者Yに対してインターネット利用料金を含む管理費の支払を求めたものの、
支払をしなかったため、XがYに対し管理費の支払を請求した。
本件では、マンション内のインターネット設備の利用料の支払義務の有無、性質が問題になった。
第一審判決は、インターネッ卜の利用を問わず、その利用料金の支払義務を負うとし、請求を認容したため、 Yが控訴し、Xが附帯控訴した。
本判決は、インターネッ卜利用料金の各戸から徴収される合計額が委託料に匹敵するし、インターネッ卜設備によって資産価値が増している等とし、ー律にインタ一ネッ卜利用料金を区分所有者に負担させる管理規約の定めは、
区分所有法30条3項の趣旨に照らしても、区分所有者間の利害の衡平が図られていないとはいえないとし、原判決を変更し、Xの請求を認容した。
★共用敷地の違法使用の判断
東京高等裁判所 平成23年2月24日
(コメント)
管理組合の合意や許可などが無く共用敷地を駐車場(3台分)と冷暖房室外機を設置した区分所有者に対し、管理組合が違法な使用であるとし、損害賠償を求めたことへの判決である。結果は、駐車場(3台分)は違法性があるが、室外機の設置については違法性があるとはいえないとの判決となった。
(裁判例)
X管理組合は、建物の1階の専有部分(店舗兼駐車場)の区分所有者であるY株式会社が共用敷地を駐車場(3台分)として使用し、冷暖房室外機を設置していたため、XがYに対して違法な使用であると主張し、不法行為に基づき賃料相当額の支払を請求した。
本件では、共用敷地の使用の違法性が問題になった。
第一審判決は違法な使用を認め、Yの無償使用権の主張を排斥し、請求を認容したため、Yが控訴した。
本判決は、駐車場としての使用は違法であるとしたものの(損害額も減額した) 、室外機の設置は未だ違法とはいえないとし、原判決を変更し、請求を認容した。
★会計帳簿の写しの請求に応じなければならないか
東京高等裁判所 平成23年9月15日
(コメント)
管理規約に書面による請求があったときは、閲覧させなければならない旨の定めがあった場合に、謄写(コピー)の請求にまで応じなければならないかの判断である。結果は謄写までは応じなくてもよいという結果となった。
(裁判例)
Y管理組合法人は、管理規約においてYの理事長は、会計帳簿その他の帳票類を作成し、保管し、組合員の理由を付した書面による請求があったときは、閲覧させなければならない旨が定められていたところ、区分所有者Xらは、
Yに対して平成18年度から平成20年度までの会計帳簿類一切の閲覧、謄写を請求した。
本件では、会計帳簿の謄写請求の可否が問題になった。
第一審判決(東京地判平成23, 3, 3判タ1375, 225)は、謄写を含め、請求を認容したため、Yが控訴した。
本判決は、閲覧を定める管理規約の定めは当然に謄写を認めるものではない等とし、原判決を変更し、一部は棄却(謄写)し、一部は請求を認容(閲覧)した。
★途中から定めた住居専用規定
東京高等裁判所 平成23年11月24日
(コメント)
途中から定めた住居専用規定ではあるが、その後に購入し税理士事務所として使用開始したものであるので、他の区分所有者も現状歯科医やカラオケ教室などとして使用しているとしても、区分所有者の共同の利益に違反し、
規約に違反するとした。規約で定めたことを守る努力を肯定する判決である。
(裁判例)
X管理組合法人の管理に係るマンションは、昭和44年に建築されたが、当時、規約において居住専用規定が設けられていなかったものの、昭和58年5月、住居専用規定(1階の一部を除き、区分所有者は専有部分を専ら住居として使用する旨の規定)
を盛り込む規約の改正が行われ、税理士Yは、同年12月、妻と共同で専有部分を購入し、住居として使用していたところ(税理士事務所は別に設けていた) 、昭和59年 12月、本件区分所有建物を税理士事務所として使用し始め(登記は、Yの単独登記とされた)、
平成19年8月頃、Xが税理士事務所として使用されていることを知ったことから、XがYに対して管理規約の違反を主張し、税理士事務所としての使用禁止を請求した。
本件では、税理士事務所としての使用が共同の利益に反するかが問題になった。
第一審判決(東京地判平成23. 3・31判タ1375, 219)は、本件マンションにおいては2階以上で皮膚科医院、歯科医院があったことがあり、現在もカラオケ教室があり、税理士事務所があるため日常的に騒音等の多大な被害が生じているとはいえない等とし、
区分所有者の共同の利益に反しているとはいえないとし、請求を棄却したため、Xが控訴した。
本判決は、Yが管理規約の改正後に区分所有権を取得したものであり、当初住居として使用していたものの、その後、税理士事務所として使用し始めたものであり、Xも住居専用規定に沿った使用方法になるように努めている等とし、 Yが区分所有者の共同の利益に違反し、
規約に違反する等とし、原判決を取り消し、請求を認容した。
★駐車場の使用料の増額決議と増額を不服とした不払い者の解約
最高裁判所第二小法廷 平成10年10月30日
(コメント)
社会通念上相当な駐車場使用料の増額決議は有効であるが、増額された使用料の不払いを理由とする駐車場使用契約の解除は無効との判決である。
(裁判例)
Xらは、マンションの区分所有者らであり、Yは、マンションの管理組合であるところ、マンションの分譲業者であるA株式会社は、敷地内の47台分の駐車場につき専用使用権を設定し、区分所有建物とは別に分譲したものであり、
Xらは、その割当てを受けた区分所有者らであるが、その権利を承継取得した区分所有者らである。Yにおいては、集会の決議によって規約を改正し(駐車場の使用に関する細則も制定された)、使用料を増額する旨の決議をしたが、
一部の区分所有者らがこれに応じないため、Yは、駐車場使用契約を解除したため、Xらが駐車場専用使用権の確認、改訂された使用料支払義務の不存在の確認等を請求した。
第一審判決が請求を一部認容したため、双方が控訴した。
控訴審判決(福岡高判平成7, 10, 27判時1557, 94)は、敷地に設置された駐車場の使用権は規約によって規定することができるとし、規約を有効とし、原判決を変更し、請求を一部認容したため、Xらが上告した。
本件では、専用使用権が設定された駐車場の使用料を増額する旨の規約の改正が有効であるかどうかが問題になった。
本判決は、駐車場の使用料の増額に関する規約の設定、変更は、増額の要性、合理性が認められ、増額された使用料が社会通念上相当な額である場合には、専用使用権者に特別の影響を及ぼすものではないが、
増額された使用料の不払いを理由とする駐車場使用契約の解除は、効力を生じないとし、原判決の一部を破棄し、その一部につき控訴を棄却し、その余の部分を差し戻した。
★建替え決議無効の条件付き建替え参加を意思表示した反対者への対応
東京地方裁判所 平成27年1月26日
(コメント)
建替え決議無効の条件付きの参加回答した建替え反対者への区分所有権の売渡請求が認められた事案。 建替えの合意形成の障害への対応の指針の一つとなる。
(裁判例)
Yは、都内所在の11階建てマンションの10階の専有部分を区分所有していたところ、A管理組合法人は、 平成24年3月12日、区分所有者の集会を開催し、建物の区分所有等に関する法律62条1項に基づく建替え決議が成立したが、Yが決議に賛成せず、
同法 63条1項に基づく参加の回答を催告され、記載欄中の参加に〇を付けたものの、決議無効の確定判決を解除条件とする旨を付記する等したため(Yは、その後、Aに対して、決議無効確認を請求する訴訟を提起し、請求棄却、控訴棄却、上告等の不受理決定を受けた)、
本件マンションの建替えに当たり、平成25年8 月1日に設立が認可されたXマンション建替組合は、 Yが建替えに参加する旨の回答をしなかったと主張し、Yに対し、マンションの建替えの円滑化等に関する法律15条1項に基づきYの区分所有権等の売渡し、
区分所有権等の時価相当額の支払と引き換えに、専有部分の明け渡し、所有権移転登記手続等を請求した。
本件では、条件付回答が建替えの参加・不参加に当たるかが問題になった。
本判決は、条件付の回答が建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に当たるとし、売り渡し請求が有効である等とし、請求を認容した。
★条件付きの建替参加回答の取扱
東京地方裁判所 平成27年1月26日
(コメント)
この判決は、明らかな建替え反対意思をもった条件付建替え参加回答者の区分所有権を組合が買い取ることを認めた判決であり、このような建替え時のトラブル対応を形づける一歩であると思われる。
(裁判例)
Yは都内所在の11階建てマンションの10階の専有部分を区分所有していたところ、 A管理組合法人は、平成24年3月12日、区分所有者の集会を開催し、建物の区分所有等に関する法律62条1項に基づく建替え決議が成立したが、
Yが決議に賛成せず、同法63条1項に基づく参加の回答を催告され、記載欄中の参加に〇を付けたものの、決議無効の確定判決を解除条件とする旨を付記する等したため (Yは、その後Aに対して、決議無効確認を請求する訴訟を提起し、請求棄却、控訴棄却、上告等の不受理決定を受けた)、
本件マンションの建替えに当たり、平成25年8月1日に設立が認可されたXマンション建替組合は、Yが建替えに参加する旨の回答をしなかったと主張し、Yに対し、マンションの建替えの円滑化等に関する法律15条1項に基づきYの区分所有権等の売渡し、区分所有権等の時価相当額の支払と引き換えに専有部分の明け渡し、所有権移転登記手続等を請求した。
本件では、条件付回答が建替えの参加・不参加に当たるかが問題になった。
本判決は、条件付の回答が建替えの参加しない旨を回答した区分所有に当たるとし、売り渡し請求が有効である等とし、請求を容認した。
★法定の要件を満たさない一括建替え決議による反対者の区分所有権等の売渡し請求
東京地方裁判所 平成24年12月27日
(コメント)
法定の要件を満たさない一括建替え決議により設立された建替組合による建替え反対者の区分所有権等の売渡し請求が認められた判決である。
(裁判例)
17棟のマンションから構成されるA団地管理組合法人において建替が検討され、数回にわたり建替決議が試みられたものの、成立しなかったところ、平成21年9月、一括建替え決議(区分所有法70条1項)が行われ、
法定の要件を満たず決議が行われ、マンションの建替えの円滑化等に関する法律9条1項に基づきX建替組合が設立され、認可されたが、本件決議に区分所有者Yが反対し、
建替えに参加しない旨を回答したことから、XがYに対して円滑化法15条1項に基づき区分所有権等の売渡し請求をし、区分所有権等を取得したと主張し、売買契約、本件建物の区分所有権等に基づき本件建物の明渡し等を請求した。
本件では、円滑化法15条1項所定の売渡し請求の当否等が問題になった。
本判決は、円滑化法1 5条1項に基づき売渡し請求を認める等し、Yの主張を排斥し、請求を容認した。
★専有部分を10区画に間仕切りしたシェアハウスの原状回復請求
東京地方裁判所 平成27年9月18日
(コメント)
居住用とは認められない改造を行った専有部分の原状回復請が認められた事例。
(裁判例)
30m2程度の専有部分を10区画に間仕切りして、シェアハウスとして賃貸していたことが、もはや居住用とは認められないため、用途違反を理由に法57条 1項の原状回復請求が認められた事例。
★規約または決議で団体行使する旨が定まっている場合には個別の行使はできない
最高裁判所 平成27年9月18日
(コメント)
不当利得を受けている区分所有者へ他の区分所有者の一人が不当利得の返還請求を行ったが、規約または決議で団体行使する旨が定まっている場合には、個別の行使はできないとされた事例。
(裁判例)
区分所有者の一人が、同マンションの共用部分を携帯電波基地に賃貸して賃料収入を得ている区分所有者に対して、共有持分権に基づいて不当利得の返還を求めたところ、同請求の行使方法については、
規約または決議で団体行使する旨が定まっている場合には、個別の行使はできないとされた事例。
★特定継承人への滞納管理費の請求と時効消滅
東京地方裁判所 平成27年7月16日
(コメント)
管理費の滞納があった区分所有者の2代目の特定継承人への請求が一部弁済による時効中断、特定継承人の管理費の支払いなどを考慮し、特定継承人への滞納請求が認められた事案。
(裁判例)
X管理組合は、大規模マンションの管理組合であるところ、A株式会社は、平成18年3月、マンション内の居室(本件居室)を取得した後、平成20年7月分から 11月分までの管理費等を滞納し、Y1株式会社(代表取締役は、Y2)は、平成20年11月、
不動産競売手続において本件居室を買い受け、平成21年1月、Y2 は、本件居室を売買により取得したが、Xは、平成26 年2月、A、Y1に対し、滞納管理費等の支払を求める支払督促を申し立て、Aは異議を申し立てなかったものの、Y1が異議を申し立て、
通常訴訟に移行し、Xは、同年7月、Y2に対し、区分所有法8条等に基づく支払義務の承継を主張し、滞納管理費等の支払を請求する訴訟を提起し、両訴訟が併合され、Y1、Y2が口頭弁論期日において消滅時効を援用した。
本件では、区分所有権を順次取得した者の滞納管理費等の支払義務の有無、消滅時効に対する信義則違反による制限が問題になった。
第―審判決は、請求を棄却したため、Xが控訴した。
本判決は、Xの主張に係る滞納管理費等の存在を認め、区分所有法8条、管理規約34条に基づき、Y2が Y1の特定承継人であり、Y1がAの特定承継人であるとし、Y1が区分所有権を他に移転したとしても、管理費等の支払義務を免れることはできないとした上、
管理費等の支払請求権が民法1 69条所定の短期消滅時効の対象となることを前提とし、Y1の時効援用は、Aの一部弁済による時効中断を認め、Y2の時効援用は、管理規約上組合員の資格の取得者及び喪失者がその旨を管理組合に届出なければならないにもかかわらず、
届出をせず、Y2がY1名義で管理費等の支払をし、Y2がY1の代表取締役であったこと等を考慮し、XがY2に対する権利行使を著しく困難にした要因がY2にあったとし、Y2の時効援用が信義則に反し、権利の濫用として許されないとし、請求を認容した。
★管理費などを不正消費して死亡した管理人の相続人への請求
東京地方裁判所 平成27年3月13日
(コメント)
集金した管理費などを不正消費した管理者が既に死亡していたが、相続人へ損害賠償請求し、私的な消費額が推認され請求が認められた。
(裁判例)
区分所有者らは、管理が業者によって行われていたところ、自主管理を行うこととし、平成7年、X管理組合を設立し、区分所有者であったAが代表者(代表幹事)に選任され、Aは、区分所有者らから管理費、積立金を集金する等し、自ら現金で保管したり、
B銀行のC 支店のX預金口座に預金したり、D銀行のX名義の貯金口座に貯金したりして管理し、平成7年5月から平成 8年4月までの収支報告を行ったものの、以後の収支報告を行わず、その後、修繕工事の代金が不足する等したことがあり、Aが平成22年1月に死亡し、預金口座の残高が24万6744円、貯金口座の残高が9,402 円であったことから、XがAの相続人Y1、Y2ら(5名) に対して不法行為に基づき損害賠償を請求した。
本件では、管理組合の代表者の不法行為責任が認められるか、私的な費消による損害額をどのように算定するかが問題になった。
本判決は、収入、支出を推認する等し、不法行為を肯定し、少なくとも私的な費消額が700万円であると推認し、請求を認容した。
★横領行為者に対する監査役と理事長の責任追及
東京地方裁判所 平成27年3月30日
(コメント)
横領行為を行った理事に対する当時の監査役の責任及び理事長に管理者としての責任が追及されたが、過失相殺により管理組合構成員を含め1割を連帯賠償することとした事例
(裁判例)
会計担当理事が10年近くに亘り、管理組合の預金から1億円を超える横領・着服していた不法行為に関して、当時の監査役の責任及び理事長に管理者としての責任についての善管注意義務違反を認め、
他方、 自主管理に協力しない管理組合の構成員にも責任があるとして、過失相殺の法理の類推によって損害額の1割を連帯して賠償する責任が認められた事例。
★管理費などを不正消費して死亡した管理人の相続人への請求
東京地方裁判所 平成27年3月13日
(コメント)
集金した管理費などを不正消費した管理者が既に死亡していたが、相続人へ損害賠償請求し、私的な消費額が推認され請求が認められた。
(裁判例)
区分所有者らは、管理が業者によって行われていたところ、自主管理を行うこととし、平成7年、X管理組合を設立し、区分所有者であったAが代表者(代表幹事)に選任され、
Aは、区分所有者らから管理費、積立金を集金する等し、自ら現金で保管したり、B銀行のC 支店のX預金口座に預金したり、D銀行のX名義の貯金口座に貯金したりして管理し、
平成7年5月から平成 8年4月までの収支報告を行ったものの、以後の収支報告を行わず、その後、修繕工事の代金が不足する等したことがあり、Aが平成22年1月に死亡し、
預金口座の残高が24万6744円、貯金口座の残高が9,402 円であったことから、XがAの相続人Y1、Y2ら(5名) に対して不法行為に基づき損害賠償を請求した。
本件では、管理組合の代表者の不法行為責任が認められるか、私的な費消による損害額をどのように算定するかが問題になった。
本判決は、収入、支出を推認する等し、不法行為を肯定し、少なくとも私的な費消額が700万円であると推認し、請求を認容した。
★管理規約に定めた違約罰の弁護士費用は違約者に請求できる
東京高等裁判所 平成26年4月16日
(コメント)
この判決は、今後管理組合が管理費や修繕積立金の未払い者に対して毅然と対応していくうえで非常に重要な判決である。
標準管理規約の「管理費等の徴収」を定めた条項に本件で争われたものと同様に「弁護士費用等を加算して請求する」旨の内容が記載されている。
他の弁護士費用を相手に請求できる事例としては、不法行為や債務不履行があるが、請求できる額は弁護士費用の全額ではなく10%程度である。
(裁判例)
X管理組合は、Aマンシヨンの区分所有者全員で構成される管理組合であるが(管理規約において、弁護士費用につき、区分所有者が管理組合に支払うべき費用を所定の支払期日までに支払わないときは、
管理組合は当該区分所有者に違約金としての弁謹士費用を加算して請求することができる旨の規定があった)、区分所有者Yが管理費、修繕種立金の支払を怠ったため、未払いの管理費等、弁護士費用等を請求した。
第一審判決 (東京地判平成25. 10. 25判時2226. 29) は、弁護士費用につき管理規約による実費相当額ではなく、裁判所が相当と認める額に限定し、請求を一部認容したため、Yが控訴し、Xが附帯控訴した。
本件では、管理規約による弁護士費用の負担条項の効力が問題になった。
本判決は、管理規約が国土交通省の作成に係るマンシヨン標準規約に依拠するものであったが、違約金としての弁護士費用は、違約罰(制裁金)であり、
管理規約の規定が合理的である等とし、控訴を棄却し、附帯控訴に基づき〈弁護士費用として102万9565円を認めた) 、請求を全部認容した。
★共用部分の賃借期間の決議
札幌高等裁判所 平成21年2月27日
(コメント)
管理組合が共用部分の賃貸借契約については、民法602条で定める期間(処分行為とされる期間)を超えて契約しても、管理規約に基づく普通決議で足りるとした。長期の賃貸借契約も可能と判断された。
(裁判例)
X株式会社は、携帯電話の無線基地を設置するため、Y管理組合(総会の議事を経て共用部分等の一部を第三者に使用させることができる旨の規定、第三者に使用させるときは、
総会の決議が必要である旨、共用部分の変更につき組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上の賛成によってすることができる旨の規定を含む管理規約が設定されていた)が管理するマンションを基地局の設置のために賃貸期間10年間とする賃貸借契約を締結することとし、
臨時総会が開催され、賛成が多数であったとされ、賃貸借契約が締結されたが、Yが賃貸借契約が理事個人と締結されたものであると主張したため、XがYに対して賃貸借契約による賃借権を有することの確認等を請求した。
第一判決(札幌地判平成20.5.30金融・商事判例1300.28)は、XとYとの間の賃貸借契約の成立を認めたものの、民法602条の期間を超えて賃貸借契約を締結するには共有者全員が行うことが必要であり、例外的に管理行為として行うことができるとした上、
本件では、処分行為に当たるとし、請求を棄却したため、Xが控訴した。
本件では、臨時総会における賃貸する旨の決議が普通決議で足りるか、区分所有者全員の同意が必要であるかが問題になった。
本判決は、区分所有関係が成立している建物の共有部分の賃貸借については民法602条の適用が排除され、本件では管理規約に基づき普通決議で足りるとし、
決議の要件を満たしていたものであり、決議が有効であるとし、原判決を取消し、請求を容認した。
★未登記規約共用部分を悪意ある者が登記、更に第三者に移転登記
東京高等裁判所 平成21年8月6日
(コメント)
登記は第三者への対抗要件であるが、未登記の規約共用部分を悪意ある者が共用部分として使用していることを知りながら競落し、第三者へ所有権譲渡したことは共用部分の主張を封ずる手立てとされ、登記がなくても規約共用部分であることを主張することかできるとした判例は、実態と経緯によっては登記なくしても対抗できるとしたものである。
(裁判例)
株式会社は、マンションを建築、 分譲したが、 その際、自己名義の洗濯室、倉庫等の規約共用部分としていたものの(登記上は、洗濯場、倉庫として記載されていた) 、共用部分の登記をしていなかつたところ、(住民が共同して使用する洗濯場 理事会開催場所等として使用されてきた) 、本件洗濯室等が競売に付され、A株式会社が競落し、
居宅事務所、事務所と変更登記をし、C管理組合に改修工事の届出をしたのに対し、Cがこれを認めなかったことから、 Aが代表者の姉Xに区分所有権を譲渡し、XがCの管理者Yに対して専用使用権の確認、工事承諾等を請求したものである。
第一審判決は、 共用部分であることの登記がされていなかったため、Yは第三者であるXに対抗することかでさないとし、専用使用権の確認等の請求を容認したため、Yか控訴した。
本件では、規約共用部分につき登記なく対抗することかできるかが問題になった。
本判決は、Aか建築当初からの規約共用部分としての利用状況等を知って洗濯室等を取得し、登記がないことを奇貨として競落後間もなく用途変更登記をし、Yによる共用部分の主張を封ずる手立てを講じたものであり、
背信的悪意者に当たるとし、Xはその承継者であるとし、登記がなくても規約共用部分であることを主張することかできるとし、原判決を取り消し、請求を棄却した。
★大規模改修の決議は理事会に執行が義務づけられているものではない
東京地方裁判所 平成24年3月28日
(コメント)
区分所有者の規約違反により設置された支障物により施工できなかった外壁改修工事部分に対し、当該規約違反者が組合に対し、工事を施工しなかったことが「債務不履行、不法行為である」と、何とも身勝手な損害賠償を求めたことへの判決である。当然ながら「理事会はその執行が義務づけられているものではなく、執行する権限が授与されたもの」として請求を退けられた。
権利のみを主張し、義務を果たさない者への組合の対応の指針となる判決である。
(裁判例)
Xは、マンションの1階に専有部分を区分所有し、店舗を営業しているところ、本件マンションのY1管理組合法人が大規模修繕を行うこととなり、修繕委員会の設置を決議し、検討し、総会において大規模修繕工事の施工を決議し、 A株式会社との間で工事請負契約を締結し、工事が施工されたが、Xの店舗前の共用部分のタイル張替等の工事については、Xが規約に違反して設置した空調用室外機、
店舗看板を移動させず、理事会の決定により工事を留保することになったことから施工されなかったため、XがY1に対して工事の施工、Y1の理事Y2らに対して債務不履行、不法行為に基づき損害賠償を請求した。
本件では、理事らの不法行為の成否、理事会の決定の当否が問題になった。
本判決は、総会が工事を決議したことは、理事会はその執行が義務づけられているものではなく、執行する権限が授与されたものというべきであり、理事会が工事を施工するに当たってはー定の裁量が認められているとし、
本件では裁量の逸脱はないとし、Y2らの債務不履行、不法行為を否定し、請求を棄却した。
★損害保険会社が管理組合に損害買収請求
東京地方裁判所 平成23年4月25日
(コメント)
損害保険会社が一度支払った保険金を隣接する住戸の設備の不具合に起因するとして、管理組合の不法行為として損害買収を請求したことに対する判決である。結果としては因果関係を否定し、損害保険会社の請求が棄却された。
(裁判例)
Aは、Y管理組合の管理に係るマンションの101号室を区分所有し、損害保険業を営むX株式会社との間で火災保険契約を締結していたところ、101号室にカビ、剥離が発生し、AがXから保険金として385万円余の支払を受け、Xは、カビ等の原因が102号室、
104号室の床下排水管の亀裂による漏水によるものと主張し、Yに対して不法行為に基づき保険金相当額につき損害賠償を請求した。
本件では、管理組合の不法行為の成否が問題になった。
本判決は、カビ等が床下排水管の亀裂による漏水事故に起因するものとは認められないとし、因果関係を否定し、請求を棄却した。
★地代は持分割合に対応する地代を支払えば足りる
東京地方裁判所 平成7年6月7日
(コメント)
分譲マンションの土地所有者からの地代請求に対し持分割合に対応する地代を支払えば足りるとした判決である。
(裁判例)
Xは、土地の所有者であるが、マンションの建築業者であるAとの間で地上権を設定し、Aは、マンションを建築し、地上権の持分とともに分譲したところ、Xが区分所有者であるYらに対して地上権全体の地代の支払いを請求した。
本件では、地代支払債務が不可分債務であるか、分割債務であるかが問題になった。
本判決は、地代支払債務が性質上不可分ではなく、持分割合に対応する地代を支払えば足りるとして、請求を一部認容した。