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大規模修繕を成功させるために

  終の棲家であるマンションを、健全に保つための長期修繕計画の立て方から大規模改修の実施方法まで掲載しました。

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INDEX

修繕計画を立案するための準備
長期修繕計画を立案する手順
大規模修繕の実施方法
機械式駐車場の検証手順


修繕計画を立案するための準備

竣工図書の確認


 マンションが竣工したときに作成されている竣工図書(設計図と仕様書及び引継関係書類)がなければ、マンションの各部位がどのような材料でどのように施行されているかが分からず、 適切な修繕計画が立てられません。また、それを改めて作成するには相当な時間とコストがかかります。竣工図書は一般修繕や大規模修繕に欠かせないものなので、 管理組合で保管して必要に応じていつでも確認できるようにしてください。
 管理組合に竣工図書が保管されていないマンションは、分譲会社、建設会社、設計事務所などに確認して、竣工図書を管理組合で保管するようにしてください。

【例】管理組合が保管すべき設計図書等
 ・付近見取図
 ・配置図
 ・仕様書(仕上げ表を含む)
 ・各階平面図
 ・立面図
 ・断面図、矩計図
 ・基礎伏図
 ・小屋伏図
 ・構造詳細
 ・構造計算書
 ・電気設備図
 ・給排水衛生設備図
 ・空調換気設備図

修繕委員会を設置


 長期にわたり適切に修繕を実施していくためには、継続的に修繕の時期、方法、予算(修繕積立金の見直しなど)を検討していくことが必要であり、 管理組合の中に継続的に検討する専門委員会組織(修繕委員会などといいます)を理事会の下部組織として設置することをお勧めします。
 委員の任期をできるだけ長くして継続的な検討ができるように配慮することや、理事OBの参加を勧めることは委員会の運営に有効です。 また、居住者の中に建物に関する専門知識を持っている人がいれば、是非入ってもらいましょう。

自主点検を実施


 管理組合が定期的に自主点検を実施することにより、以下のようなメリットがありますので、是非行って見てください。 タイミングとしては役員交代の時期などに新旧役員が敷地や建物の状況を目視確認でおこないます。


建物や設備の不具合や異常を早期に発見することができる。
組合員のマンションに対する関心を高め、建物や設備の不具合や異常を発見する意識を根付かせることができる。


 実施方法は、年1回程度、敷地周りや建物、設備を目視で不具合や異常が無いか確認していく作業を行い、自主点検シートなどに不具合が生じている箇所がどこか、それはどのような状況かを具体的に記入し、後で状況が確認できるよう不具合箇所の写真(後で場所がわかるように距離を置いた写真と近寄った写真)を撮影しておくことも重要です。 専門家に対応方法や時期(大規模修繕工事の時でよいか、あるいは緊急に修繕の発注が必要か)について相談してください。


・点検の回り方(参考)
【外壁】→【玄関ポーチ】→【屋上】→【外部廊下・階段】→【バルコニー】→【内部廊下・階段】→【管理員室等】→【玄関ホール】→【外構、附属建物】

建築物及び建築設備の法定点検結果を活用する


 建築基準法第12条第2項、第4項により義務づけられている建築物及び建築設備の劣化状況の定期点検(12 条点検)結果から翌年度の改修すべきことや、大規模修繕に盛り込むべきことなどを検証して計画的な修繕を実施していくことが重要です。

<点検部位>
【敷  地】敷地、地盤、塀、擁壁
【建築構造】基礎、木造、組積造、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、特殊な構造(膜・免震)、階段、バルコニー
【建築仕上げ】屋根、外壁(外装仕上げ材等)、床、天井、壁、窓サッシ等、屋上面、パラペット、笠木、排水溝、避雷設備、機器及び工作物(冷却塔設備、広告塔等)、照明器具、懸垂物等、石綿等を添加した建築材料、外壁に緊結された広告板・空調室外機等
タイル、石貼り、モルタル等の劣化状況の調査は、新築・外壁改修後10年を超えてから最初の調査は、歩行者等に危害を加える恐れのある部分全面を、テストハンマーによる打診等により確認する。
【防火区画】防火戸、シャッターその他これらに類するもの、防煙壁
【昇 降 機】エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機
【遊戯施設】コースター、観覧車、メリーゴーラウンド、ウォータースライド等
【排煙設備】排煙口、給気口、排煙機、給気送風機、風道(排煙・給気)、手動開放装置、エンジン直結の排煙機、煙感知器、可動防煙壁
【換気設備】排気口、給気口、排気機、給気機、風道、排気筒、排気フード、空調設備(中央管理方式)、防火ダンパー
【非常用の照明装置】非常用照明器具(電池内蔵形、電源別置形)、蓄電池、自家用発電装置
【給排水設備】給水配管、排水配管、ポンプ、排水再利用配管設備、ガス湯沸器、電気給湯器、衛生器具、飲料用の給水・貯水タンク、排水槽

<点検の頻度>
【敷地・建築構造・建築仕上げ・防火区画】3年以内(検査済証の交付を受けた日以後最初の点検は6年以内)
【昇降機・遊戯施設】1年以内(検査済証の交付を受けた日以後最初の点検は 2 年以内)
【その他建築設備】1年以内(検査済証の交付を受けた日以後最初の点検は 2 年以内)

専門家の活用


 修繕はその検討段階から専門的、技術的な知識が必要となるため、管理組合だけで行うのは困難です。
 専門家としては、管理会社や設計事務所、マンション管理士などが考えられますが、実際に委託をするときには、その専門家の経験年数、 修繕に携わった実績・事例などを確認して適切な専門家を見つけることが重要です。



長期修繕計画を立案する手順

調査・診断結果から修繕基本計画を立てる


 修繕を行うためには、まず、マンションの状況を調査・診断し、修繕が必要な箇所やその内容を見極める必要があります。管理組合が主体となり、専門家の協力を得て、その調査にあたります。
 調査は「予備調査」、「一次調査」、「二次調査」の3つの段階に分けて行います。


①予備調査
 修繕委員会などが共用部を主に目視により確認をします。また修繕記録、管理記録などのマンションの整備記録を確認し、マンションの状態の概況を把握します。
②一次調査
 一次調査では、居住者にマンションの不具合(雨漏り、壁や天井などのひび割れなど)についてアンケート調査を行います。これによりマンション全体の不具合の状況を把握することができます。
③二次調査
 二次調査では、一次調査までの結果を基に、専門家がマンションの調査・診断を行います。コンクリートや設備配管の劣化状況などを実地調査し、マンションの整備記録の精査とあわせ、マンションの状態を診断します。
 専門家に発注する場合は、業務の範囲を明確にし、また、当該マンションの状況を的確に把握してもらうためにも「長期修繕計画作成業務発注仕様書」などを作成にて依頼することをお勧めします。

 診断結果を基に修繕が必要な範囲や、修繕の方法・仕様を検討し、修繕基本計画を作成します。この際、必要な費用を概算し、修繕積立金では足りない場合は別途資金調達の方法を検討するなど、しっかりとした資金計画を立てることが非常に重要です。

修繕の種別


 修繕には大きく分けて、一般修繕と大規模修繕があります。一般修繕はドアなどの器具の故障やタイルの剥がれの補修など小規模で経常的な修繕であり、 必要に応じてその都度行われるものです。

 大規模修繕は、外壁の塗り替えや屋上防水の修繕などの概ね10年から15年に一度行う大規模な工事を伴う修繕です。 マンションの健全な状態を保つために長期修繕計画を作成し、点検結果を踏まえて計画的に行っていく必要があります。

長期修繕計画に基づいた修繕の検討


 マンションは屋根や外壁、給排水設備など様々な部位により構成されており、それぞれの部位ごとに修繕すべきサイクルが異なります。 そのため長期修繕計画ガイドラインでは「30年以上かつ大規模修繕工事が2回以上含まれる期間」で長期修繕計画が策定されることが推奨されています。 それを目安に大規模修繕を的確に実施し、手遅れとならないようにしなければなりません。 長期修繕計画がないマンションは早急に専門家へ相談して作成する必要があります。 また、大規模修繕工事を実施した後に、建物の状態や改修材料の耐久性を考慮して再度長期修繕計画を見直すことが重要です。なお、定期的な見直しは5年程度毎が推奨されてます。

【例】管理組合が保管すべき設計図書等
 ・付近見取図
 ・配置図
 ・仕様書(仕上げ表を含む)
 ・各階平面図
 ・立面図
 ・断面図、矩計図
 ・基礎伏図
 ・各階平面図
 ・小屋伏図
 ・構造詳細
 ・構造計算書



大規模修繕の実施方法

グレードアップの検討


 特に3回目以降の大規模修繕の仕様や方法を検討する際には、これまでのマンションの機能を回復する修繕を目的として行うのか、機能や性能を付加してグレードアップする改修も含めて行うのか、 管理組合で意思決定をする必要があります。

 グレードアップは、例えばエレベーターがないマンションにエレベーターを設置することなどが考えられますが、単純な修繕より費用がかさむため、 その費用負担と改修の必要性を十分に比較した上で判断をする必要があります。

組合の意思決定


修繕設計図や工事仕様書、資金計画をとりまとめた工事計画書を作成し、管理組合の総会に図り、修繕・改修の実施について決議します。共用部分の著しい変更を伴わない限り、 総会での過半数の賛成で決議されます。

工事業者の選定


 工事業者の選定の方法としては、数社の施工会社に設計図や仕様書を渡して見積もりを依頼し、その金額や工事内容を比較して選定する「見積もり合わせ」方式が多く使われているようです。この方式は入札方式に比べ、金額の妥当性や工事内容の適切さを考慮して選定できるというメリットがあります。

 この時に重要となるのは、事前にしっかりとした設計図や仕様書を準備し、見積もりの前提条件を施工会社に正しく伝えて比較できる見積もりを提出してもらうことです。

 また同時に工事が適正に行われているかチェックをする工事監理者(1級建築士など)についても選定を行う必要があります。

工事の契約と実施


 工事の契約には「民間連合協定工事請負契約約款」などの標準的な契約書を修正して用いるのが一般的です。この契約書は工事の契約にあたって必要な事項を一通り網羅できるため安心です。また、お互いに工事内容を確認した証として、工事業者を選定するときに作成した「設計図と仕様書」を契約書と一緒に綴じておくことをお勧めします。

 工事の実施には工事の進行スケジュールや方法について居住者に十分に周知を図り、工事への協力を得る必要があります。あわせて配慮したいこととしては、大規模修繕工事で実施される外壁工事は足場の設置が必要とされ、また、施工時期については、窓の開閉を制限されることとなりますので夏場を避け、防犯上の理由から年末年始も避けた方がいいでしょう。

 また、工事監理者を通じて工事の進捗状況を把握し、工事が完了したときには、工事監理者及び管理組合が工事完了検査を行い、工事が適正に施行されているか確認します。
 最後に、工事が完了したら以下のような竣工図等を管理組合で保管しましょう。

【例】竣工図書リスト
 ・工事請負契約書
 ・竣工図
 ・竣工引渡書・建物引受書
 ・工事費清算書
 ・保証書
 ・専門業者及びメーカーリスト
 ・アフターケア体制リスト
 ・竣工仕様書



機械式駐車場の検証手順

機械式駐車場にかかる費用の実態


 機械式駐車場は狭い敷地でも立体的に多くの駐車区画を確保することができるメリットがあります。しかし、その維持に多くの費用がかかることや、機械式駐車場には寿命(20~25年)があることに目をつぶってしまっているのではないでしょうか。

 1台あたりの年間維持管理費用(保守・点検費用、保険料(建物、機械)、電力量を想定)は、比較的多く採用されている多段式駐車場が7~13万円、循環式及びエレベータ式が5~15万円かかります。

 1台あたりの取替費用は、多段式駐車場でピットを再利用しても100~150万円かかります。

 ご自分のマンションの機械式駐車場が今のままで良いか、改修工事の時にどうするべきかお考え頂く機会になればと思います。

機械式駐車場の定期点検


 (財)駐車場整備推進機構が機械式駐車場装置を保有する管理組合を対象に行ったアンケート結果によりますと、年間点検回数の最も多いのが年6回、次いで年4回と12回となっています。また、定期点検費用も年・台あたり20,000~30,000円が多くなっています。

 また、同機構の平成18年度機械式駐車装置メーカーアンケート結果によると、年間点検回数は昇降式では4回、6回が多く、タワー式ではほとんどが12回でした。定期点検費用算定の考え方についての回答では、次のように報告されています。

多段式費用概算(2025年時点)
①定期点検費用3,500~4,500円/パレット・回
②年間4回以上の点検が推奨されており、日常点検も含めると年間で1台あたり約20,000円~50,000円/パレット
③電気代は年間約5,000円~20,000円/パレット
④上記費用のほかに部品交換・修繕費が発生することがある

タワー式費用概算(2025年時点)
①定期点検費用4,000~7,000円/パレット・月
②メーカーにより毎月~3ヶ月に1回程度点検が実施される、保守契約を割高とはなるが部品交換費用を含むフルメンテナンス契約とするか、割安となる部品交換を含まないPOG契約(突発的な部品交換費用が発生する場合ああり)とするか十分検討が必要
③電気代は年間約年間5,000円~20,000円/パレット
④保守契約をPOG契約とした場合は上記費用のほかに部品交換・修繕費が発生することがある、とくに、老朽化が進んでいる場合は部品交換費用が高額となる場合があることも想定される

機械式駐車場の修繕積立金ガイドライン(2025年時点)
①2段(ピット1段)昇降式 6,450円/台・月
②3段(ピット2段)昇降式 5,840円/台・月
③3段(ピット1段)昇降横行式 7,210円/台・月
④4段(ピット2段)昇降横行式 6,235円/台・月
⑤エレベータ方式・垂直循環方式 4,645円/台・月

機械式駐車場の長期保全計画


 機械式駐車場装置の性能を長期間にわたり維持するためには、一般の機械と同様に適切な維持管理が必要です。駐車装置の機械部分の減価償却資産としての耐用年数は15年と定められていますが、 適切な保守(定期点検)と保全(部品交換)を実施する事により、さらに長期間にわたって使用することが可能になります。
 保守会社から「長期保全計画書」を提出させることも一つの方法です。管理者が駐車場設備の中長期的な維持管理計画を作成する時の基本資料となります。

機械式駐車場の修繕工事


 機械式駐車場装置の経年劣化により、各パーツの交換を周期的に行いますが、10年を過ぎてさらに、減価償却資産の15年を超えると、各機械装置の老朽化が進み大型部品の修理が必要となります。 その場合、入替え工事(リニューアル)と比較検討しての対応が迫られる事となります。
 また、鉄部の塗装工事(一般に6~8年に1回)も定期的に行う必要があります。特に東北地方では冬季間の融雪剤の影響で、パレット等のサビが多く発生する場合あり塗装工事の頻度が多くなる場合もあります。

機械式駐車場の維持管理費の目安


 機械式駐車場の維持管理費は、全体としてどの位掛かるのでしょうか。(財)東京都道路整備保全公社のHPで駐車場の種類と特徴に次のように記載されています。 だだし、維持管理費は、保守・点検費用、保険料(建物、機械)、電力量を想定したものです。

①自走式立体駐車場 1万円/1台・年
②機械式立体駐車場(循環式) 10万円/1台・年
③機械式立体駐車場(エレベータ式) 10万円/1台・年
④機械式立体駐車場(多段式) 7万円/1台・年

 その他、ピットの排水ポンプ設備、駐車場に必要な消防設備などもあり、機械式駐車場の維持には相当金が掛かります。
 「マンション管理センター通信 2008年3月号 P22~25」から一部抜粋

機械式駐車場の改修工事


 機械式駐車場の修繕周期は、形式により大きく異なります。駐車装置の機械部分の減価償却資産としての耐用年数は15年と定められていますが、 一般的には駐車装置は20~25年程度で取替え、昇降装置は10年程度、安全装置は5年程度で修繕・取替え、排水ポンプは10年程度で取替えます。
 改良工事は、マンション内の駐車場ニーズにより、機械式駐車場の導入・増設を行うことや、駐車装置の性能をグレードアップすることが検討事項になります。 性能のグレードアップには、駐車装置を全面的取り換えの際に超静音・超パワフルを実現したタイプやコンパクト設計による省スペース対応のものなどがあります。 また、車高が高い大型車両が駐車可能な駐車装置の作り変えを行う事もあります。

 地下ピット式機械式駐車場の改修工事のコスト(単価)は概ね次のように想定されます。
※コストは地下ピット機械式駐車装置を50台規模として場合の1台当たりの単価


①新設
工 法:平面駐車場を機械式駐車場に変更
仕 様:掘削、ピット、駐車装置、ポンプ新設
コスト:150~200万円/台
②取替え
工 法:機械式駐車場の取替え
仕 様:既存ピットを再利用
コスト:100~150万円/台
③取替え
工 法:大型機械式駐車場に取替え
仕 様:既存ピット撤去、大型ピット駐車装置に変更
コスト:200~250万円/台
④廃止変更
工 法:自走式立体駐車場に変更
仕 様:既存ピット、機械式駐車装置撤去
コスト:180~230万円/台

参考資料:平成16年6月 国土交通省 改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル P84

駐車場使用料の変更


 機械式駐車場の使用料は、どのようになっているでしょうか。マンション管理新聞 2009年1月5日号の 2008年度下半期管理費初期設定調査では次のようなデーターがあります。

駐車場使用料金データー(全国平均)
平均収容台数86台
平置きのみ   10,152円
機械式のみ   16,811円
併用(平置き) 17,031円
併用(機械式  10,905円
敷地外      7,483円

 しかし、駐車場の使用料はマンションを売りやすくするために、分譲会社がかなり低い額に設定しているケースもあります。駐車場の維持管理に要する費用額にはしたいものです。 たとえば、「機械式駐車場を総取替えするには1台当たり、100~150万円程度かかる。仮に3年、5年、8年周期で各パーツを更新し、15年で総取替えし、この間に2回の鉄部塗装をし、 毎年の保守点検費や電気代加算すると15年間で1台当たり200~250万円の費用が必要になる。これは月額の駐車料金に概算すると1.1~1.4万円になる」 (「改修によるマンション再生リニューアル」ぎょうせい発行より)事なども参考にし、使用料を見直すことも必要です。

駐車場使料の変更を検討する

 駐車場の使用料は、最高裁の判決(平成10年10月30日)にあるように、マンションの駐車場の専用使用権は、区分所有者全員の共有に属するマンション敷地の使用に関する権利であるから、 これが分譲された後は、管理組合と組合員たる専用使用権者との関係においては、法の規定の下で規約及び集会決議による団体的規制に服すべきものであり、 管理組合は、法の定める手続き要件に従い、規約又は集会決議をもって専用使用権者の承諾を得ることなく使用料を増額することができます。

 増額された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められること」を要件として、「特別の影響」を及ぼす場合にあたらないとしています。

 さらに「社会通念上相当な額」であるか否かについては、「例えば」として、以下を「総合的に考慮して判断すべき」と述ています。
(a)駐車場分譲代金額とマンション本体価格
(b)近隣の駐車場使用料とその推移
(c)マンション敷地の価格と公租公課の変動
(d)駐車場使用者の使用期間
(e)駐車場の維持管理に要する費用額

駐車場使用料の会計処理


 国土交通省の「マンション管理標準指針」によれば、標準的な対応として管理組合の経理を区分管理費会計と修繕積立金会計に区分することが必要と述べていますが、 望ましい対応として機械式駐車場等で維持管理に多額の費用を要する施設を有する場合は、駐車場使用料会計等を管理会計及び修繕積立金会計とは区分して設けるとしています。

H16年調査(駐車場使用料の会計区分)によりますと

すべて管理費会計に繰り入れ 68.6%
修繕積立金会計及び管理費会計に繰り入れ 19.1%
すべて修繕積立金会計に繰り入れ 7.4%
駐車場会計を独立して区分経理 2.3%


 以上のように駐車場使用料の独立会計を行っている管理組合は少ないようです。 しかし駐車場使用料などを管理費会計に入れることで赤字になるのを防いでる管理組合もあります。 機械式駐車場を有する場合には、その維持及び修繕に多額の費用を要することから、将来機械式駐車場の維持・修理費がかさみ対応に苦慮することもあります。 今一度、駐車場使用料の会計処理について見直すことも必要だと思います。

駐車場の「空き対策」


 最近の都会のマンションでは、車を持たない人の増加や高齢化などによる車を手放す人の増加、近隣の比較的安い駐車場への移動などにより、 駐車場の空きスペースが多くなり問題となっている場合があります。
 なかなか有効な解決策はないのですが、そのまま放置しておくと機械式駐車場の場合とくにその維持及び修繕に多くの費用がかかりますので、 早急に管理組合内で対応策を検討する必要があります。

機械式駐車場を撤去する方法


 機械式駐車場を撤去して平面駐車場とする方法です。撤去して埋め戻す方法と、ピットはそのままにして上を鋼板などでふさぐ方法があります。平面駐車場とした場合、 必要台数のスペースが確保できない場合もありますので、外部駐車場を借りたり、カーシェアリングなど管理組合としての対策も必要です。

外部に貸し出す方法


 多くの空きスペースがある場合外部に貸し出す方法があります。管理組合から駐車場運営会社に委託し、運営会社が第三者にサブリースする方式などがあります。 この場合、駐車場収入の課税の問題、管理規約の改正などの課題があります。

自走式立体駐車場への建て替え事


 敷地や必要台数の問題もありますが、機械式駐車場に比べると自走式立体駐車場は維持・修繕費があまり掛かりません。平面駐車場では必要台数が確保できない場合、 自走式立体駐車場への建て替を検討するのも一つの方法です。

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